この度、インドネシア最新法令Updateの著者である三浦法律事務所の井上諒一が執筆した『インドネシアビジネス法実務体系』が中央経済社より出版されました。そこで井上弁護士に、書籍の特徴などを聞きました。――「インドネシアビジネス法実務体系」はどのような内容ですか?井上 諒一弁護士(以下、井上):インドネシア語に堪能であるという筆者の強みを活かし、インドネシア現地で、多くの当局の担当者と直接議論を重ね、インドネシア語の法令原文も読み込むことで得られた知見を本書に集約しています。フィンテック、マルチファイナンス、銀行業、建設業、不動産開発業、ディストリビューター業等、日本企業の投資が増えている分野についてき、詳細な業種別解説を行っている点が、いわゆる「ハウツー本」と一線を画する本書の特徴の一つです。――インドネシアでビジネスを行う際に難しい点は?井上:インドネシアで日本企業が行う取引・プロジェクトが大規模化・複雑化するにつれて、「インドネシア法」部分がネックとなる場面が増えています。インドネシア人弁護士によって言うことが違ったり、当局の見解が担当官によって違う等、日本企業にとってインドネシアはブラックボックスに感じられることも多いです。「白か黒か」という判断はインドネシアでは難しく、法令や実務が不明確であることを前提としたビジネス判断が求められます。このため、日本企業としても、法令上何がクリアなのか、何がどうしてクリアでないのか、クリアでないことからどのようなリスクが生じ得るのかを正確に理解する必要があります。ーーどのような思いをこの書籍にこめましたか?井上:日本企業のみなさまが、インドネシア法を主体的・体系的に理解し、インドネシアでの取引・プロジェクトを成功させる一助となればと思い、本書を執筆しました。