1. デジタルバンクの新設本新規則では、「デジタルバンク」の設立が認められています (本新規則23条1項)。デジタルバンクは、最低1つの中央オフィス(KP:Kantor Pusat)を持つ必要がありますが、それ以外は物理的な支店を開設することなく、オンラインで事業を行うことができます(本新規則23条2項)。なお、本新規則の制定前は、一般銀行がデジタルバンキングサービスを行うには、金融庁の承諾を得る必要があるとされていましたが(*1) 、「デジタルバンク」という類型は設けられていませんでした。本新規則により、「デジタルバンク」という類型が正面から認められたという意義があると考えられます。これにより、インドネシアにおける銀行のデジタル化が加速することが期待されます。*1 一般銀行によるデジタルバンキングサービスの運営に関する金融庁規則2018年12号5条2項2. 一般銀行の資本金の増額本新規則による改正前は、一般銀行の資本金は3兆ルピアとされていました(インドネシア銀行規則2011年13号5条(本新規則により廃止済み)) 。本新規則により、一般銀行の資本金は、10兆ルピアに増額されています(本新規則12条1項) 。ただし、金融庁は特別の考慮に基づき、上記とは異なる最低資本金を定めることができるとされています(本新規則12条2項) 。3. KBMI分類の新設(BUKU分類の撤廃)インドネシアでは、本新規則による改正前はコア資本 (*2)に基づく分類として、「BUKU分類」(BUKU:Bank Umum berdasarkan Kegiatan Usaha)という分類が採用されていました(金融庁規則2018年17号1条4号(本新規則により廃止済み)) 。金融庁規則2021年12号では、「BUKU分類」は廃止され、新たにKBMI分類が導入されました。KBMI分類の内容は以下の通りです (本新規則12号147条1項)。• KBMI 1:コア資本の額が6兆ルピア以下• KBMI 2:コア資本の額が6兆ルピア超14兆ルピア以下• KBMI 3:コア資本の額が14兆ルピア超70兆ルピア以下• KBMI 4:コア資本の額が70兆ルピア超もっとも、既存の法令において、流動性レシオ、リスクマネジメント、キャピタルコンバージョンバッファー等の規制は、BUKU分類を前提として定められています。金融庁規則2021年3号では、これらの規制に関して例えば「BUKU3、BUKU4に適用される規制は、KBM2、KBMI3、KBMI4に読み替える」というような形で、BUKU分類とKBMI分類の対応関係を示します (金融庁規則2021年12号153条)。*2 コア資本(Modal Inti) とは、払込資本金、資本積立金、追加コア資本の合計額を指すものとされています(金融庁規則2016年11号(金融庁規則2016年34号により改正)11条1項)本新規則には、一般銀行に関して重要な改正が含まれていますので、インドネシアで銀行業を行う皆様におかれましてはご留意ください。